『泣く子はいねぇが』公開、仲野太賀「秋田にとってのナマハゲは 僕にとっての柳葉さん」

是枝裕和もその才能に惚れ込んだ、新進気鋭の監督 佐藤快磨の劇場デビュー作で、第68回サン・セバスティアン国際映画祭で最優秀撮影賞を受賞した、仲野太賀主演の映画『泣く子はいねぇが』(配給:バンダイナムコアーツ/スターサンズ)が11月20日に公開初日を迎え、公開記念舞台挨拶が行われた。 


本作は、佐藤監督が、秋田県・男鹿半島の伝統行事「男鹿のナマハゲ」から、“父親としての責任”、“人としての道徳”というテーマを見出し、親になることからも、大人になることからも逃げてしまった主人公が、過去の過ちと向き合い、不器用ながらも青年から大人へ成長する姿を描いた完全オリジナル作品。監督の出身地・秋田県で全国的 にも有名な伝統行事の「男鹿のナマハゲ」を題材にしたことにちなみ、登壇キャストが地元愛あふれる”ふるさと自 慢対決“を行った。 


構想から5年以上を経て、遂に公開された本作。公開初日の翌日となる21日、主演の仲野太賀、そして共演の吉岡里帆寛一郎、そして秋田から駆けつけた柳葉敏郎と、佐藤快磨監督が登壇し、公開記念舞台挨拶を行った。 


主人公たすく役・仲野太賀の「公開を迎えて誇らしい気持ちでいっぱいです。どんな風にみなさん受け取っても らえるのかワクワクしている」という挨拶からスタート。これに、たすくの妻・ことねを演じた吉岡里帆、たすくを支える地元の親友、志波を演じた寛一郎、「なまはげ存続の会」会長・夏井役でたすくにとって父のような 存在を演じた柳葉敏郎、監督・脚本・編集をつとめた佐藤快磨監督が続き、それぞれ感謝の言葉を述べた後に質疑応答に入った。 


自身の父親と長年の友人である柳葉を幼い頃から良く知っている仲野は「毎年、正月は柳葉詣でというか、新年の挨拶で会っては泣かされていました(笑)。秋田にとってのナマハゲは、僕にとっての柳葉さん。対面するだけで震えるような身近な存在」と笑いを交えながらも、「夏井がたすくの父親代わりという役であったことも、感慨深いものがあった」と俳優として、そして人生の大先輩である柳葉との共演について心の内を明かした。それを聞いた柳葉は、感涙の仕草で会場から笑みを誘いつつも、「彼の主演作で共にできたこと。両親も喜んでいると は思うけれど、自分も胸がいっぱいだったし、役でもその気持ちを表現できる間柄の設定だったので、現場で温かい空間の中で過ごすことができた」と喜びをかみしめつつ、主演作が公開された仲野に「太賀、おめでとう!」 と力強く呼びかけた。


吉岡は、初の母親役を演じるにあたり「実際には母親の経験がないので本当のところは分からないことばかりでしたが、SNS の育児日記などをたくさん読みました。また、娘の凪役が子役ではなく現地の一般の子だったため、どうやったら喜んでもらえるのかすごく考え、いろんな事を試しました。そういう点で は母親になる事に戸惑う役を演じる上で、その子の存在が大きかった」と役作りを語った。 一方、本作でいつまでも子供っぽい男同士の友情も描かかれていることに関連して、自分の「大人と子ども」の 割合を尋ねられた寛一郎は、「けっこう難しい。子供らしい利己的な部分と、協調性を半々で持っていたいの で、理想は5:5です」と答えた。これに対して「大人」歴の長い柳葉は、「男性は女性には敵わない部分がいっぱいあるし、それに支えられて好き勝手に生きているから、男はやっぱり子供。けれど、色々なことを経験していくと子供っぽさがそれぞれ形を変えていくんじゃないか」と男としての生き方を語った。 


また、監督は「単に男鹿の良いところばかりを描くような、ご当地映画にはしたくなかった。でもそのことを男鹿の人たちが受け入れた上で、協力をくれたから完成した」と感謝を示した。


その後、監督が劇場デビュー作は故郷の秋田を舞台にしたかったとして生まれた本作にちなみ、登壇者それぞれの「ふるさと自慢」トークに移った。東京出身の仲野は、たくさんの人との出会いや別れを体験することができる「出会い」、寛一郎は家族にすぐに会えるという意味で「帰る田舎がない」と回答。日本を代表する観光地の一つである京都出身の吉岡は「観光地が“激近”」と、観光地が身近にあることの喜び、そして街の人が地元が観光地であることに誇りに思っていることも素晴らしいと語ると、他のキャストも口々に「羨ましい」とぽろり。 また吉岡は、コロナ禍でぐっと観光客が減ったことで街の風景が変わったことに対する心配も口にした。 


そして柳葉のふるさと自慢はなんと、「柳葉敏郎」。「秋田にはこんな自分を育ててくれた、心の広い人たちがい ます!」と地元愛を強烈にアピールすると、同じく秋田出身の佐藤監督が「小さい頃に柳葉さんがテレビに映る と、「あれは秋田の人だよ」と毎回家族が言っていた。秋田の子供はそうやって育ってます」と秋田で柳葉がいか に応援されていたかを語り、さらに本作の出演に関しても、「秋田の若者が頑張っているなら協力する」と言って くれたと地元の先輩に感謝した。 


最後に、仲野が「胸をはって送り出したい作品」と語り、監督も「最初に太賀くんに『ナマハゲ』の映画をやりたいと言った時にはこの光景を想像できていなくて、本当に感慨深い」と 5 年前に初めて男鹿を訪れてから今日までの日々を振り返りつつ観客にむけて「一生忘れられない風景、表情があることを願っています。ぜひ見届け てください。」と呼びかけて舞台挨拶は終了した。

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