福山雅治 50歳の誕生日にダブルアンコール楽曲&MCを収録したライブアルバム発売

全国30カ所、36万人を動員したアリーナツアー『WE’RE BROS.TOUR 2018』、『DOME LIVE 2018 -暗闇の中で飛べ-』、さらにオフィシャルファンクラブBROS.3期生を招き、同年7月に開催されたプレミアイベント『お前と密会 2018』。これら全31公演の弾き語りによるダブルアンコール楽曲を、当日のMCと共に収録したアルバムが2019年2月6日(水)に発売されることが決定した。

初回限定盤には、2017年の大晦日に開催された『福山☆冬の大感謝祭 其の十七』カウントダウンライブ映像が特典Blu-ray・DVDとして全編収録される。



「『弾き語り』という、アコースティックギターを始めた人が最初にやり始める、一番素朴で、かつ一番誤魔化しの効かない演奏形態。そしてライブという“その時にしか生まれ得ない感情の記録”、ですよね」(福山雅治)

福山雅治が50歳を迎えるまさにその日にリリースされる作品。

タイトルは『DOUBLE ENCORE』。

「ダブルアンコールでの弾き語りを集めてアルバムにする、というアイデア自体は、ファンの方からのリクエストも含めてずっとあったんです。いつか形にできればと思っていたんですが、“いつか、って、いつなんだよ? それって30周年?”と自分とスタッフにツッコミを入れつつ(笑)、打ち合わせをしていたところ、聞けば“今回のアリーナツアーとドームライブのダブルアンコールは全会場のテイクを録音してます”と。そうなの!? じゃ、いつ発表できるかわからないけどMIXに取り掛かってみようか! と」

『WE’RE BROS TOUR 2018』の全公演と、『DOME LIVE 2018-暗闇の中で飛べ-』の全公演(プラス、ファンクラブ限定ライブから1曲)から、弾き語りのみを収録したアルバム。ライブ盤とも呼べるし、ベスト盤的要素もある。しかし、この作品のオリジナリティは、福山が自身のライブのエンディングで“独りでオーディエンスに向き合う時間”のダブルアンコールの音源のみを時系列に並べ、そして全会場でのトークも含めて余すことなく収録しているという点にある。

「当然ですがライブでの僕とオーディエンスの関係はまさに一期一会。トークを入れなければ4枚組ではなく3枚組になったと思いますが(笑)、今回は敢えて全会場のその楽曲にまつわるトークを収録してみました。結果、その日その会場でしか起こり得なかった歌とギターと空気感が収録されていました。僕の感情もオーディエンスの感情も含んだ一発録りの良さというか。まさに、オーディエンスと共に作り上げた弾き語りのテイクたち。そこに特別な作品性を感じました」


2018年のアリーナツアー『WE’RE BROS TOUR 2018』の武道館でのライブだった。この日は雨で、ダブルアンコールには「雨のメインストリート」を選んだ。その日の演奏が、ファンと福山にとっての、この特別なアルバム制作を前進させる大きなきっかけになったのだと福山は言う。
 
「『雨のメインストリート』は、2ndアルバム『LION』に収録されている曲で、僕的にはアルバムの中の1曲という位置付けなんですよね。だから、みんながみんな知っているという曲ではない、と僕は思っていたんです。にも関わらず、その日だけのアレンジでイントロを弾き始めた瞬間に会場全体からざわめきと歓声が上がった。その瞬間に、楽曲というものは自分の心の奥底から湧き上がり、作られ、旅立ち、そしてファンの心にしっかりと刻まれているんだということを、改めてですが実感したんですよね」


過去の楽曲が、ライブでのアーティストの現在地と、それぞれのオーディエンスの現在地で出逢う。その貴重さにもまた、この作品のオリジナリティが宿っている。特に初期の楽曲群における創作者と受け手との想いの交錯が垣間見られるのは、音楽作品とライブとの関係性においてとても重要な示唆になっている。

「主に歌詞の部分ですけど、初期の楽曲というのは、自分の中でやっぱり“言えてない感”という悔しさみたいなものが残っているんです(笑)。特に歌詞のテーマへの向き合い方の問題ですよね。きちんとそのテーマに向き合うことができていれば、怖いな、嫌だなと思ったことでも言葉にして歌詞にできるはず。でも、そこからちょっとでも逃げたり避けたりすると、途端に言葉にならなくなる。もちろん音楽なので、明瞭に言い切らずにそこをメロディやサウンドに委ねつつ思いを伝える、という手法もある。でもやっぱりシンガーソングライターとしては、言葉を追求したいという欲求からは逃れられない。だからキャリアを重ねれば重ねるほど、初期の、自分ではまだまだやり切れていないという楽曲はタンスの奥にしまいがちになる(笑)。でも、いま歌ってみると、そうした作者の、悔しさみたいなものも含めてファンやオーディエンスは愛でてくれている。その様々な感情の邂逅の場が『DOUBLE ENCORE』に集約されているんじゃないかなと思います」

サブタイトルにある「ONE MAN ONE GUITAR」という言葉は、弾き語りという日本語に対して、ジャストな英語がないというところから付けられたものだという。独りで1本のアコースティックギターを持って歌を歌う状態を表したその言葉が向かう先には、多くのオーディエンスではなく、明確に「あなた」が立ち上がってくる。「ONE MAN ONE GUITAR」、まるで、「わたしとあなた」、そう呼びかけられているような意思を感じる。

最後に、こちらも初期の名曲で、福山とファンにとってかけがえのない曲である『Dear』にまつわるこんな話を教えてくれた。

「『Dear』は2月の新潟公演のテイクと、7月に開催された『お前と密会 2018』というファンクラブイベントでのテイクの両方が入っているのですが、これがもうまったく違うものになりましたね。前者はアコースティックギターでピック弾きしていますが、後者はクラシックギターでの指弾きで。理由ははっきりしていて、役をいただいた映画『マチネの終わりに』の撮影のために、この時期はクラシックギターの練習に励んでいて、オーディエンスの前でどれだけ弾けるか試してみたかったんです(笑)」


俳優としての役作りがダイレクトに音楽にフィードバックされる様。それもまた福山雅治というアーティストのみが伝えることのできる表現者としての貴重な記録だ。

この『DOUBLE ENCORE』、いつか福山雅治の作品群をアーカイブした時に、彼の音楽作品への解釈や向き合い方を紐解く重要な手がかりとなることは間違いない。ライブという特別な空間、弾き語りという特別な時間によって剥き出しになる福山雅治の歌と、その楽曲たちの現在地が収録されている。きっと今後もダブルアンコールで演奏される楽曲たちは、変化し進化し続けていくのだろう。だからこそこの『DOUBLE ENCORE』は、“いま届けたい作品”として、平成最後の彼の誕生日に発表されることになったのではないか。

インタビュー・谷岡正浩


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